ボランティアによる作業
解説
公共的な作業ではボランティアによる作業が提供されることがあります.ここでは,組織が品質マネジメントシステムの活動にボランティアによる作業を組み込む場合について考察してみます.
ボランティア(個人または団体)による作業
公共の場所の清掃や福祉の分野ではボランティアによる奉仕活動が行われることがあります.このようなボランティアによる作業を組織の品質マネジメントシステムの活動として利用することができるでしょうか.
製品の素材
ボランティアによって提供されるサービスは組織が提供するサービスの素材と考えることができます.金鉱に埋まっている金と同じように製品の素材と見なすわけです.ところが,物と違い,サービスは人によって提供されるために,ある時点では組織の提供するサービスの素材として適切であったとしても,別の時点では,同じボランティアによって提供されるサービスであっても組織のサービスとしては全く用をなさないということもあります.
組織による管理
ボランティアによる作業が組織の提供する製品の素材であるとすると,組織が提供するサービスの品質を確かなものにするためには,何らかの形でボランティアによって提供されるサービスの質を確保する必要があるでしょう.そのためには,ボランティアを供給者とみなし,「7.4 購買」の要求事項を適用するとよいのではないでしょうか.
ボランティア団体を供給者であると見なせば,評価し選定することになりますが,評価のポイントとして重要な点は”統制がとれている”ということでしょう.
寄付金などで運営されるボランティア団体が品質マネジメントシステムを構築する場合には,ボランティアの統制ができることが鍵となります.そのためには,少なくともボランティアと何らかの形で組織の統制に従うという合意が必要でしょう.
以上
2001 新倉忠隆