
「実践・ソフトウェアのISO9000」(日本能率協会マネジメントセンター:新倉忠隆著)の内容から抜粋しています.(1994年版のISO9001の解説です.出版当時のTickITにも対応しています.)
4.9 工程管理
品質システム構築のポイント
- 国内では,「ISO9001をソフトウェア品質システム審査登録に適用するための解釈に関する見解」(日本科学技術連盟/SPC研究委員会,ソフトウェア品質システム審査登録検討委員会:1996年6月)の解釈が多く採用されており,ソフトウェアの複製以降の工程にこの条項を適用する場合が多い.
- ソフトウェアの開発プロジェクトの管理にこの条項の該当する要求事項を適用するとよい.
- プログラミング作業を設計とみなすか,製造とみなすかについては,いろいろな考え方がある.@プログラミングの際に担当者が違うとロジックの長さが異なる可能性があったとしても,機能的及び論理的インターフェイスに違いが出ない場合には”製造”と考え,Aプログラミングの際にプログラム間のインターフェイス情報や機能面で違いが生ずることが許されており,最終的に作り込まれたインターフェイスや機能を含めて設計書で規定されたものが仕様となる場合には,”設計”と考える,こともできる.
- プログラミングを製造とした場合には,コーディング規約などに適合していることの管理も,この条項で要求されていることになる.
審査に関連して
- TickITに基づく監査で特徴的なのは,開発ツールや開発環境の管理で,ハードウェアの構成や実際に開発のために利用している環境にあまり注目しない点である.
- 顧客要求仕様に基づいて開発するソフトウェアの顧客への納品物の複製作業では,一般的に開発担当者が作業を行うため,工程が個人任せになっていたり,品質が管理されていない媒体が使用されたりしていないか注意する.
2000年版では
1994年版の要求事項の内容は,2000年版の「7.5 製造及びサービス提供」,「6.3
インフラストラクチャー」,「6.4 作業環境」,「8.2.3 プロセスの監視及び測定」及び「8.2.4
製品の監視及び測定」でカバーされており,実質的な変更はない.
以上
1995,2002 新倉忠隆