ここでは,2000年版のISO9001で明確な要求事項となった顧客の知的所有権の保護に関してのヒントを提供します.(但し,知的所有権だけが新たに追加されたのではなくて知的所有権は顧客の財産の例として取り上げられています.)

自社の知的所有権の保護について規格は何を要求しているか.

解説

 規格は,自社の製品の知的所有権の保護について何も明示的に要求していません.従って,組織が自社の製品に対して知的所有権を保護することを規定した場合にのみ,それが要求事項となります.

自社の製品の知的所有権保護を規定する方法

 自社の製品について知的所有権の保護を規定する方法はいろいろ考えられますが,「7.2.1 製品に関連する要求事項の明確化」の「d) 組織が必要とする追加要求事項」に規定すると,最もわかりやすいのではないでしょうか.

自社の製品の知的所有権を保護しなかったら

 自社の製品の知的所有権を保護しなかったら,組織が損害を被るばかりでなく,顧客も損害を被ることになるでしょう.それは,顧客と同じ製品やシステムを他社がすぐにまねできたり,顧客のシステムが不正アクセスの対象になったりする可能性が高くなるからです.このような状況では,顧客から訴えられることはあっても顧客の満足を得ることはないでしょう.

以上

2001 新倉忠隆
2001 新倉システムコンサルティング